2024.11.30
玄関はお客様をもてなす最初の場所であることから、「家の顔」と言われますが、だからといって広くすればいいというものでもありません。
家を建てるのは、お客様のためのではなく「家族のため」ですから、抑えるべきポイントをしっかり押さえて家族全員が使いやすい!と言ってくれるような機能的な玄関づくりを目指しましょう!
広さより「機能性」を重視しよう!
関連記事:『【完全攻略】「間取りづくり」で抑えておくべきポイントを”部屋別”で完全網羅!』
本記事は、YouTubeでも分かりやすく解説しておりますので、動画で見たいという方は以下からご覧ください!
関連動画(YouTube):『【間取りのコツ】玄関ホール・シューズクロークの適切なサイズと配置』
目次
そもそも玄関は、どこに、どう配置すべき?
玄関は土地のどこに配置すればいい?
玄関は「家の顔」なので、「デザイン的にも道路側に配置した方がいい」というのがありますが、玄関の位置は「リビングの配置」にも影響してきますから、土地や周辺環境を踏まえて臨機応変に考えた方が良いです。
「狭小地(間口が狭い)」の場合は?
間口が狭い「狭小地」の場合、リビングの日当たりを優先するためにも、あえて上画像のように玄関を奥まった位置に配置するのも選択肢です。
こうすることで、最低限リビングの日当たりを確保できますから、室内環境はだいぶ快適になりますよ。
「南側の隣家との距離が近い」場合は?
南側の隣家との距離が短い場合、南側からの採光をあきらめてしまいがちですが、上画像のようにあえて南側(画像内右側)に駐車場を配置して、隣家との距離を確保するのも選択肢です。
この場合、駐車場の北側(画像内左側)にリビングを配置することで、隣家との距離も確保できるため、リビングの日当たりもしっかり確保できますよ。
ちなみにこの間取りの場合、玄関は「駐車場を抜けた先」に配置するような形になりますね。
鬼門は気にしなくていいの?
これはもう「信じるか信じないか、あなた次第!」というところです。
個人的には、鬼門や裏鬼門を気にすることで、間取りがある程度決まって制限を受けてしまいます。そうなると最終的に昔ながらの間取りになってしまうので、不便になることも。昔は「南西は暑くなりやすい」などの理由もありましたが、今とは家の性能も大きく異なるので、鬼門を気にする実質的な効果はほとんどないでしょう。
「玄関ドア」の向きはどうすればいい?
結論、どちらでもいいと思います。
ただそれぞれメリット・デメリットがあるのでササっと要点を抑えておきましょう。
玄関ドアを「道路側」に向ける場合
玄関ドアを道路側に向ける場合の最大のメリットは、「かっこいい」という点ですね。
その反面デメリットとしては、「道路から中が丸見えになってしまう」、「子供が道路に飛び出す恐れがある」というところですかね。
ただ前者は、リビングのドアを閉めたり、外構で目隠ししたりすれば問題ありませんし、後者も子供への教育でカバーできる部分かなと思います。
玄関ドアを「道路側」に向けない場合
メリットとしては道路側から「家の中が見えないこと」ですね。
ただその反面、「デザイン性が落ちる」、「死角になるため防犯面が心配」というのがデメリットになるでしょう。
正直コチラについても、デザイン性は外構側でカバーすればいい話ですし、防犯面も人感センサー式の照明をつけたり、近所付き合いなどで対策可能な部分にはなると思います。
玄関を含む照明計画に関する詳細は以下記事を参考にしてみてください。
関連記事:『【必見】照明計画(リビング/ダイニング/玄関など)でよくある失敗・後悔パターン5選!』
「玄関ドア」はどういうものを選べばいい?
間取りに関連しない話なので詳細は省きますが、玄関ドアにも「ドアタイプ(片開きor親子扉or引き戸)」、「断熱性能」、「ガラスの有無」、「鍵のタイプ」など様々な要素があります。
もちろんデザインも大切ですが、玄関が寒いor暑いと、そこにつながるLDKにも影響してきますから、中でも“玄関ドアの断熱性能”はしっかり担保するようにしましょう。
機能的&ムダのない玄関の間取りポイント6選!
家族のための家だからこそ、広さだけにこだわらずに機能的な玄関を作っていきましょう。
玄関の間取りを考える上で抑えておくべき点は以下の6つ。
- 玄関ポーチの広さは?
- 玄関ホール・土間スペースの広さは?
- シューズクロークは必要?最適な広さは?
- シューズボックスのサイズ・形状は?
- 玄関ホールからのLDKに入る動線は?
- その他採用したい機能は?
それでは、それぞれ詳細をチェックしていきましょう!
①玄関ポーチ(外)部分の広さは?
玄関ポーチの「屋根」は最低でも「奥行:1P」!
玄関から出たときに雨に濡れてしまわないようにするためにも、屋根の奥行は最低でも「1P(約90cm)」は確保しておきましょう。
吹き降りなど激しい雨にも対応したい場合は、奥行に「120cm」確保できていれば問題ないと思います。
1P=91cm
ドア開閉も踏まえ、ドア横は最低「50cm」確保しよう!
また玄関ポーチの足場部分には、ある程度横に余裕がないと、開閉の時につっかえてしまいますから、画像のようにドア横には最低「50cm」のスペースを確保しておきましょう。
お子さんがいるご家庭の場合には、少し余裕をもって70~80cm確保しておくのもアリですね。
玄関の屋根形状は?
上画像のように玄関屋根にも「オーバーハング(左)」「アーム式システム庇(右)」の2種類ありますが、結論好みで選んでもらってOKです。
ただオーバーハングは奥行が「90cm」になる事が多いので、90cmじゃ物足りない場合は、90cmのオーバーハングに30~50cmの庇(アームなしでOK)を取り付けて奥行を延長するのも選択肢ですね。
②玄関ホール・土間スペースの広さは?
土間・玄関ホール、共に『1.5P×1.5P』が推奨
来客のことも考えて広い玄関を作りたがる人は多いですが、実際お客さんなんてめったに来ませんよね。そんなお客さんのために見栄をはっても無駄。大切なのは、玄関を広くしすぎないことです。
玄関の推奨サイズは、土間部分・玄関ホールともに、『1.5P×1.5P(1.365m×1.365m)』がベスト
もちろん予算に応じて広げるのもOKですが、機能的に考えるとこのくらいの広さがあれば十分です。
スペース次第では「ホールの奥行」を縮めるのもアリ
逆にこれだけのスペースがとれないという場合は、「ホールの奥行を少し縮める」というのもアリでしょう。もちろんやらない方がいいですが、どうしても厳しかったらやってみてください。
ただ一方で玄関スペースの横幅をこれ以上縮めるのは絶対にNGです。「子どもが二人並んで靴脱げないじゃん!」みたいなことになりかねませんから、横幅を狭めるのはやめておきましょう。
玄関タイルはどういうものを選べばいい?
玄関タイルを選ぶ際には、絶対に「滑りにくいもの」を採用するようにしてください。
また「玄関タイルの色」については、極端な「白」や「黒」を採用してしまうと汚れが目立ってしまいますから、グレーやベージュなどの中間色系にするのがおすすめですよ。
③シューズクロークは必要?最適な広さは?
間取り上可能であれば作るのが理想
玄関は家族全員が出入りするスペースのため、どうしてもごちゃついてしまいます。
そのため急な来客時などの収納を考えると、間取り上可能であればシューズクロークを作っておくのが理想ですね。
シューズクロークの最適な広さ(幅・奥行)は?
<左:幅2P、右(推奨):幅1.5P)>
シューズクロークを考える際、「どのぐらいの広さがいいのか?」「縦長がいいのか横長がいいのか正方形がいいのか…」など悩むことも多いでしょう。
まず広さについては、「幅:1.5P」が推奨です。奥行については必要に応じて調整してもらえればと思いますが、ちょうどいい塩梅としては「奥行:1.5P」ですね。
特に横幅については、2P確保してしまうと上図左のように通路部分が広くなりすぎてしまいますから、ジャストサイズで無駄のないシューズクロークにするためにも「幅1.5P(上図:右)」が推奨です。
両側に30cm程度の棚を設置する想定
シューズクロークの目隠しは「ロールスクリーン」で!
またシューズクロークの中が見えないように、「扉(引き戸)をつけたい」という人も多いと思いますが、扉をつけると「引きしろ(扉を引き込むスペース)」が必要になり、シューズクローク内で使用できるスペースが減ってしまいます。
加えて、デザイン的にあまりきれいでないですし、それなりに高いというデメリットもありますので、シューズクロークを隠せるようにしたいのであれば、扉ではなく、「ロールスクリーン」にするのがおすすめです。
シューズクロークの回遊導線はどう?
よくあるのが「家族用玄関とお客様用玄関を分けたい!」「回遊導線にしたい!」という意見。
これは、シューズクローク自体が「通路」となり、収納スペースが減ってしまうためおすすめしません。
またせっかく家族用とお客様用と導線を分けても、結局めんどくさくてお客様用玄関を使う…というケースも考えられますから、シューズクロークを作るなら回遊導線にせず、「収納量重視」で考えた方が良いでしょう。
シューズクロークを設置する際の理想的な配置は?
収納スペースとしての理想は、「シューズクロークに加えて、シューズボックスも設置する」ですね。
その場合は上図のように「右にシューズクローク、左にシューズボックス」というように、それぞれ左右に配置するのが一般的だと思います。(この場合玄関ホールの横幅が2Pに)
またより無駄なスペースを削りたいのであれば、上図のように「奥にシューズクロークを配置するレイアウト」にしてもらえれば、先ほどは2Pだった玄関ホールの横幅を1.5Pに抑えることができるので、より無駄を減らすことができますね。
シューズクロークには「換気システムの排気口」をつけよう
シューズクロークは特に足の臭いがこもってしまう空間ですから、その対策として換気システムの排気口を配置するようにしましょう。
関連記事:『【場所別】収納スペースに最適な“奥行”と“幅”は何センチ?事例付きで解説!』
④シューズボックスのサイズ・形状は?
物が少ない場合は「シューズボックス」でもOK
もちろんスペース的にもシューズクロークが作れるのが理想ですが、スペース的に難しい場合もありますよね。
そういった場合はシューズボックスだけでも全然OKなので、無理してシューズクロークを作るのはやめましょう。
シューズボックスの推奨サイズは「幅1.5P」
シューズボックスのサイズに関しては、「幅1.5P(約120cm)」がいいと思います。
また形としては中間部分のスペースに、鍵や写真立てなども置ける「コの字型で鏡がついているタイプ」がおすすめですね。ただここについては、「絶対にコの字型じゃなきゃいけない!」ということもないので、好みで決めてもらってOKです。
幅1.5P+コの字型だと何足入る?
一般的に、幅1.5P+コの字型シューズボックスであれば「40足」くらいは収納可能です。
またコの字の中間部分も収納にすると、全部で「55足」くらいは入りますから、形状を検討する際には靴の量も踏まえて考えるようにしましょう。
⑤玄関ホールからのLDKに入る動線は?
原則「玄関⇒リビングorダイニング」が推奨!
玄関ホールからLDKに入る際に、「リビング/ダイニング/キッチンのどこにつながるように配置するか?」は、無駄のなく、コスパの高い間取りにするためにも非常に重要な要素です。
やはり理想としては、「玄関ホール⇒リビング」という動線ですね。
もちろんそれが無理なら玄関ホール⇒ダイニングでもOKですが、基本的には「リビング」or「ダイニング」に進入路を持って行くのがセオリーになります。
「玄関⇒キッチン」は生活感が丸見えに…
対して「玄関ホール⇒キッチン」という動線にすると、荷物をすぐにキッチンや冷蔵庫に運べるメリットはありますが、生活感が出やすい「キッチンの足元」が丸見えになってしまうため、こまめな掃除が苦手な方にはあまりお勧めはできません。
また上図のように「キッチンの後ろ側」から入る動線もありますが、本来であれば冷蔵庫が置けたスペースを進入路にしているため、キッチン収納の量が幅3Pから2Pとかなり減ってしまいます。
そのためキッチン裏に玄関を配置するというパターンもやめておいた方が良いですね。
関連記事:『【間取りのコツ】キッチンでやりがちな致命的な配置・レイアウトの失敗例7選!』
玄関ホール⇒LDKの「扉」は?
まず、「扉を付けるのか、つけないのか?」という話がありますが、玄関はどうしても冷えやすいですから、玄関の冷気がLDKに流れこまないようにするためにも扉はあった方がいいです。
その上でどういう扉を付けるべきか?についてですが、この扉は開けっ放しになるケースも考えられるので、原則「引き戸」が推奨です。またLDKの解放感を出すためにも「ガラス入り」を選びましょう。
さらにここの扉に、「ハイドア(通常よりも背丈が大きいドア)」を採用するケースもありますが、ハイドアの横に「ハイドアではない扉」が並んでしまうと、高さが不揃いで不格好になってしまいますから、ハイドアを検討をしている場合にはこういった点にも注意しておきましょう。
⑥その他採用したい機能は?
1. ニッチ
ニッチはデザイン的にもかわいいですし、コの字型のシューズボックスがない場合にも鍵やシャチハタなどの小物置き場にもなりますからおすすめです。
ただ外壁側にニッチを作ってしまうと、断熱欠損(断熱材が部分的に薄くなってしまう)が生じてしまいますから、ニッチを作るときには外壁に面していない壁に作るようにしましょう。
2. 手すり
手すりは無くてもいいんですが、できるだけ框付近に取り付けた方が良いと思います。
これは老後のことを考えて…でもあるんですが、手すりがないと靴を履くor脱ぐときに壁にもたれかかる形になるため、そこだけ壁紙が黒くなってしまうんです。
なのでコスト的、デザイン的にはマイナスにはなりますが、気になる方はつけておいた方が良いかなと思います。
3. 姿見の鏡
姿見の鏡は結構重いので、重さによっては事前に下地を打っておいた方がいいと思います。
下地の有無の目安としては、5kg以下であれば普通の石膏ボードのピンでも行けますので、「5~10kg以上であれば下地ありが推奨、10kg以上は必須」と考えてもらえればOKです。
4. 有効ボード
もちろんシューズクロークが十分確保できる場合は不要ですが、有効ボードを取り付けておけば、帽子だったりカバンだったりをフックでかけておけるので、特に小さいお子さんがいるご家庭はおすすめですよ。
まとめ
玄関ホールや土間部分、シューズクロークなど玄関の間取りづくりにおいて抑えておくべきポイントは以下の4つ。
玄関の間取りづくりにおけるポイント
- 玄関ホール・土間スペースの広さは?
⇒それぞれ「1.5P×1.5P」がちょうどいい塩梅 - シューズクロークは必要?最適な広さは?
⇒間取り上作れるなら作るのが理想
⇒広さは「幅1.5P~2P」が推奨 - シューズボックスのサイズ・形状は?
⇒幅1.5P+コの字型がおすすめ(40足分) - 玄関ホールからのLDKに入る動線は?
⇒玄関>リビングorダイニングの動線がセオリー
⇒キッチン側に進入路を設けるのは非推奨!
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