2024.11.30
注文住宅を建てる際、自動お掃除機能や和室の段上げ収納、見せる収納、全館空調システムなど、色々な設備に憧れますよね。ただ、そんな一見魅力的な設備にも、実はデメリットや落とし穴があるんです。
本当に役立つオプションなのか、事前にしっかり確認しましょう!
関連動画(YouTube):『【損失400万円以上】役に立たない憧れの注文住宅オプション18選』
目次
注文住宅を建てる際に注意したいポイント
注文住宅を建る際に、住宅会社の打ち合わせやショールームの案内で、オプションの誘惑・提案を受けまくりますよね。そこでテンションが上がって全て入れてしまうと、予算オーバーになってしまいます。
それだけではなく、なかには意外と使えないデメリットの多いオプションも含まれてるんです。
たとえば「自動〇〇機能を採用して楽になるかと思ったけど、意外と手動が多くて大変!」「テンション上がって採用したけど、住んでから2回くらいしか使ってない!」となる人が多いんです。InstagramやYouTubeでは、割とデメリットを言わずにメリットばかりを言う情報も多いので、判断するのが難しいですよね。
そこで、今回は憧れのオプションに関して、デメリットを中心に紹介していきます。もちろん、そのデメリットを理解した上で「それでも入れたい!」と言うのであれば、問題はありません。ただし、何も知らずに全部のオプションを入れてしまうと、たぶん数百万円以上損をすることになるので、気をつけてくださいね。
また、特にInstagramでよく見かける「和室を段上げして収納スペースを作ろう」「玄関の框(かまち)の下にスペースを作ろう」のような「マル秘収納テクニック」は、せやまさんは推奨しません。その理由と、それに代わる収納スペースを確保する方法も紹介していきますよ。
大切なのは、皆さんの家はInstagramやYouTubeで紹介するための「作品」じゃないということです。あくまで日々の生活を快適に暮らすための「ツール」なんです。「本当に自分たちに必要なものは何か」ということを見極めてくださいね。
今回は【住宅設備編】、【収納の工夫編】、【空調・調湿編】、【オシャレ編】の4つに分けて紹介していきます。「絶対にダメ」というわけではありませんが、これから紹介するデメリットをしっかり理解しましょう。その上でやりたいのであれば、採用してくださいね。
メリットだけに目を向けず、「本当に自分に必要なものは何か」を考えて、「自分たちにとってのちょうどいい塩梅の家づくりは何か」を見極めていきましょう!
注文住宅でおすすめできないオプション「住宅設備編」
憧れるものの、役に立たない設備として、まずは【住宅設備】を紹介していきます。紹介するものは、こちらの3つ。
- 1.25坪のユニットバス
- 自動お掃除レンジフード&浴槽
- お風呂・トイレの窓
住宅設備編①:1.25坪のユニットバス
お風呂が広いと、子どもと一緒に入る時も快適に入れますよね。それは正しいのですが、子どもと一緒に入れるのは短期間です。また、1.25坪のお風呂にしても、大きくなるのは洗い場だけで、浴槽は大きくならない場合が多いんです。
さらに、費用的にもおすすめしない理由があります。「1坪から1.25坪タイプにしても、プラス10万円くらいですか?」と聞かれることが多いんですが、それは違います。実際の家のサイズも大きくなるので、10万円どころか実質的には数十万円単位の追加費用になってしまうんです。
というわけで、洗い場を広くするためにそれだけの追加費用をするくらいなら、脱衣所を広くしてそちらの収納を増やす方が良いと個人的に考えます。
洗面やトイレを広くするのはどう?
個人的には、洗面台を広くするのはアリだと思います。もちろん予算やスペースと相談しながらになりますが、最低でもW900mm、できればW1,200~1,300mmの洗面台にしておくと便利です。特に女性が多い家庭の場合は、便利でしょう。洗面周りはゴチャつきますし物も多いので、どうせサイズを大きくするのであれば、お風呂より洗面台の方がおすすめです。
一方、トイレに関しては小さくても良いでしょう。特に2階のトイレなんかは、幅1P(1P=90cm)、奥行き1.5Pの0.75畳で十分です。人間は狭い方が落ち着けるという人もいます。また、トイレを広くしてももったいないですよね。というわけで、トイレはコンパクトなままで良いでしょう。
住宅設備編②:自動お掃除レンジフード&浴槽
自動お掃除レンジフード
自動掃除機能がついていると、確かに家事は楽になります。ただ、実はこの機能はデメリットがあまり知られていないんです。
自動お掃除レンジフードは、実は手動が多くて完全自動ではありません。お湯をセットして、汚れを捨てるような手動の工程があります。また、自動で洗えるのは一部分ですので、周辺部材は手洗いが必要になってしまいます。さらに、全部ピカピカになるわけではないので、一部は自分で掃除しなければなりません。機能が増えているので故障リスクも高くなるというデメリットもあります。
このように、どうせ手動で掃除する部分があるなら、1年に1回のつけ置き洗いで良いじゃない、とせやまさんは思います。
自動お掃除浴槽
自動お掃除浴槽も、確かに掃除は楽になります。ただ、説明書に書いてありますが、2週間に1回は手洗いが必要になるんです。さらに、浴槽の角の部分は汚れが落ちづらく、手洗いが必要になることもあります。また、当然ですが浴槽以外の部分は手洗いが必要ですよね。もちろん、こちらも機能が増えているので故障リスクも高くなります。
というわけで、多少は楽になるものの、それほどではないかな、と考えています。
「自動〇〇」は全部ダメなの?
また、この自動お掃除レンジフードや自動お掃除浴槽の話をすると「じゃあ、自動〇〇は全部ダメなの?」と聞かれることもありますが、そんなことはありません。
たとえば、食洗機は絶対に必要だと思っています。浅型ではなく、深型もしくはフロントオープン型の食洗機は導入する価値があるでしょう。乾太くんのような乾燥機も便利ですし、ルンバやDEEBOTのようなお掃除ロボットはおすすめです。子どもが小さいうちはルンバが動けるような綺麗な状態にならないということもありますが、子どもが大きくなって床が見えてきたら導入を検討しても良いでしょう。ルンバやDEEBOTとかを設置するためのコンセントをしっかり付けておいて、なるべく家事は自動化していく、というのが私の考え方です。
ただ、自動お掃除レンジフードや自動お掃除浴槽に関しては「最初に考えていたほど楽にならないかも」ということは、把握した上で検討してくださいね。
住宅設備編③お風呂・トイレの窓
これはいつも話してますが、要らないですよ。「日中は電気をつけずに過ごしたい」ということで、お風呂やトイレの窓が必須だった時代もありますが、今は要らないでしょう。
お風呂は結露のリスクがありますし、外から人影が見える可能性があります。トイレに関しても、窓をつけたら明るくなるものの、狭い空間に窓があると断熱性能がすごく落ちるんです。特に2階のトイレに窓をつけると日射が入り、夏にすごく暑くなって熱中症のリスクも高まります。もちろん、窓をつけるとコストも上がりますよね。
というわけで、お風呂とトイレの窓は、原則的になしで良いでしょう。お風呂の場合は「掃除の時に開けたい!」ということで付けたい人もいるかもしれませんが、その場合でもなるべくコンパクトな窓にしてください。
洗面所の窓はどう?
お風呂とトイレに比べると、洗面に窓を付けるのはアリだと思います。
洗面はお化粧をするなど、身だしなみを整える場所なので、明るい方が良いんです。もちろん、照明でも明るくなりますが、照明の光だと外での見え方とは微妙に違いますよね。というわけで、自然光を浴びて身だしなみを整えられるということで、洗面の窓は良いでしょう。必須とまでは言いませんが、付けても良いと思いますよ。
ただし、洗面に窓を付ける場合も、小さいFIXの型ガラスにしましょう。透明だと外から見えてしまうので、注意してくださいね。
注文住宅でおすすめできないオプション「収納の工夫」編
憧れるものの、役に立たない設備として、次に【収納の工夫】を紹介していきます。紹介するものは、こちらの5つ。
- 和室段上げ収納
- 玄関框の下の収納
- シューズクロークの扉
- 屋根裏収納
- 見せる収納
収納の工夫編①:和室段上げ収納
引き出し風にすると15~20万円のコストアップに…
「和室をちょっと上げて、その空間を有効活用しましょう」って、よく聞きますよね。
確かに横に広げられないなら高さを使うのは、空間の有効活用という点では正しい考え方です。ですが、和室の段上げ収納は結構お金がかかるので、あまりおすすめしません。
引き出し風の収納スペースを作ろうと思うと、既製品では入らないので造作費用がかかります。それも5~10万円ではなく、15~20万円くらいかかってきます。
上から開けるタイプにすると開かずの収納に…
「引き出し風が高いなら」ということで上から開けるタイプもありますが、これもおすすめしません。物を置いておいたら避けなければならないので、結局は開かずの収納になる可能性が高いんです。
(出典:城東テクノ株式会社)
そもそも、段上げにするだけで10万円以上の造作費用がかかります。
和室の段上げで収納するくらいなら、床下点検口にボックスを入れて収納にするのがおすすめです。それなら大きなペットボトルなども収納できますよ。しかも、費用はカゴだけなら1万円もかからないので、コスト面でも安心ですね。これは手っ取り早くておすすめですよ。
収納の工夫編②:玄関框の下の収納
「玄関の上がるところに隙間を入れて、ここに靴を収納するのはどうですか?」というのは、よく聞かれます。
確かに、これも良いアイデアですが、マジでやめた方が良いです。収納のための空洞があるということは、框がたわむリスクがありますよね。しかも、そのリスクの割に収納量は増えません。さらに掃除しづらいので、靴を入れても汚くなってしまう恐れもあります。
というわけで、リスクがあって収納量が増えず、掃除も大変なのでせやまさんはおすすめしません。
そんなところに作るよりは、1.5P幅の通路を狭くして、奥行き1.5Pくらいのシューズクロークを作る方がおすすめです。そうすれば有効で幅2,400mmくらいの収納になります。これくらいのスペースがあれば、60~70足くらい靴が入るので十分ですよね。
収納の工夫編③:シューズクロークの扉
これもいつも言っていますが、シューズクロークの目隠し扉もおすすめしません。
玄関をスッキリさせるためにきっちり隠したいという気持ちは分かりますが、実際はほぼ開けっ放しにする人が多いんです。
さらに、扉を作る場合は引きしろのスペースが必要になります。そうすると通路を真ん中に持ってきづらくなるので、中の収納量も減ってしまうんです。もちろん、扉を付けるコストもかかりますよね。
収納というのは真ん中に入口を持ってくると、両側に収納が作れてウォークインである意味が出てくるんです。端っこから入ってウォークインにすると、単に「入れる収納」になるだけで収納量は増えません。
というわけで、シューズクロークには扉ではなくロールスクリーンがおすすめです。来客がある時だけ、中に物を詰め込んでロールスクリーンをしめれば十分ですよね。
関連記事:『【場所別】収納スペースに最適な“奥行”と“幅”は何センチ?事例付きで解説!』
収納の工夫編④:屋根裏収納
これは最近、やる人が減ってますよね。
屋根裏収納は確かに大容量ですが、やめた方が良いでしょう。結構お金がかかってしまいます。
「高さ1,400mm以下であれば床面積に入らないから固定資産税の節約が~」のように言う人もいます。確かにそれはそうですが、施工費がめちゃくちゃかかります。普通の部屋と同じくらいかかるのに、収納にするとはしごの上り下りが大変なんです。
小さい子がいて、兄弟も多いと「数年後に着せるためのおさがりを取っておきたい」という気持ちになるのは分かります。ただ、そういう事情で屋根裏収納を作るのは、ちょっとコスパ的に悪いでしょう。
なので、屋根裏収納を作るよりは1階完結型の家にしましょう。そうすれば2階のスペースが余るので、納戸的な収納スペースを作り、そこを収納にしていくのがおすすめです。
でも、屋根裏収納は秘密基地になるのでは?
屋根裏は屋根がジリジリとして暑いので、おすすめしません。
エアコンを持ち込めるのであれば暑さはマシになるかもしれませんが、それでもおすすめできません。
どうしてもやりたいのであれば、主寝室とかを勾配天井にして、オープンのロフトを作りましょう。そこを収納にすれば、屋根裏収納を作るほど費用はかかりませんし、ある程度は空調も使えます。
どうしても秘密基地を作りたいのであれば、完全にクローズな形ではなく、オープン型のロフト収納という形で検討してみてください。また、そもそも屋根裏収納が必要なほど荷物を持って行かないことも大切です。引越しがチャンスですので、物を減らしていきましょう!
収納の工夫編⑤:見せる収納
ショールームのように綺麗な状態を維持するのは難しいので、これもおすすめできません。
InstagramやYouTubeを撮影する時は綺麗なインテリアを飾りますが、実際に住んだらあんな状態を維持できません。
収納は「隠す」「しまう」「見えないところに持って行く」ということが基本です。よっぽど綺麗さの維持に自信がある人や、メンテナンスが趣味という人以外は、見せる収納はやめましょう。
注文住宅でおすすめできないオプション「空調・調湿編」
憧れるものの、役に立たない設備として、【空調・調湿】についても紹介していきます。紹介するものは、こちらの5つ。
- 床暖房
- 床下エアコン
- 全館空調システム
- 加湿・換気機能付きエアコン
- 調湿機能付きの壁材
空調・調湿編①:床暖房
壊れたら修理ができない…
床暖房は一時期流行りましたが、最近では「床暖房がなくても底冷えしない家を作ろう」という風潮に変わってきています。
床暖房は「床自体を温めよう」という考え方で、非常に暖かくなって良いものです。ただし、いつか壊れますし、壊れたら実質的に修理は不可能なんです。
「伝導」による暖かさはムズがゆくなってしまう
また、熱の伝わり方は「伝導」「対流」「輻射」の3種類です。
「伝導」というのは、直接手を触れることですね。手が触れたところが温かい、という状態です。「対流」というのは、周りの空気が暖かいという状態です。そして、「輻射」というのは周りの壁や天井が温かいことですね。触っていない遠くの部分が温かく、それを輻射熱でもらうことで温もりを感じます。
ただ、この伝導の「触ったところが温かい」というのは、人間としてはちょっとムズムズする状態です。こたつや床暖房、カイロは即効性がありますが、ずっと伝導で温めているとムズかゆくなり、快適性が失われてしまいます。
基礎断熱+浮造りの床で底冷え対策が最適
というわけで、せやまさんとしては床は床暖房で温かくするのではなく、「冷たくない状態」にする方がおすすめです。
それであれば「基礎断熱」といって、床の下も同じ空気で回して温かくしておくように、ちゃんと断熱材とか気密性能を担保していけば底冷えしません。床を全部無垢床にしたり、浮造り(うづくり)といって凹凸のある無垢床にしておくことで、足と床の設置面積が減って底冷えしなくなりますよ。
このように、せやま基準のちょうどいい塩梅で性能面を担保すれば、足元の底冷えは防げるので床暖房は要らないでしょう。ローコストで、本当に性能の低い家で「床暖房がないと寒い」という場合は入れても良いかもしれませんが、ある程度の性能が担保できた家なら不要だと思いますよ。
でも、床暖房は壊れないって聞きました!
「でも、営業マンから壊れないって言われました!」と言われることもあるんですが、そんなことはありません。
機械だって人間だって、いつかは壊れてメンテナンスが必要になります。
なので、床暖房のようにメンテナンスができないものを入れるのはおすすめできません。長く住む家だからこそ、メンテナンスがしやすいように、なるべくややこしいものは入れないようにするのが大事ですよ。
空調・調湿編②:床下エアコン
床下エアコンとは、壁にエアコンをつけるのではなく、床下にエアコンを付けるものですね。
「床下を温めて、その暖かい空気を持ち上げよう」という考え方です。これは良い技術なんですが、そこまでする必要はありません。
床下エアコンにすると、冬は良いんですが夏用にリビングの壁にもう一つエアコンが必要になります。お金が余っている人はやっても良いですが、個人的には要らないと思います。床下エアコンをするような会社って、結構良い性能の家を建ててるので、床下エアコンまで使う必要はないでしょう。
コストもかかりますし、「ちょうどいい塩梅の家を建てる」という考え方でいうと、床下エアコンではなく、基礎断熱なり床断熱の気密性能担保をやったうえで底冷えを防ぎ、普通にリビングエアコンを使うのがおすすめです。
関連記事:『【新築戸建向け】冷暖房効率を上げる最適な「エアコンの取りつけ位置」は?』
空調・調湿編③:全館空調システム
全館空調システムは、どこかでまとめて空気を温めたり冷やしたりして、ダクトで各部屋に持って行くシステムですね。各部屋の温度を一定に保てるというメリットがあります。その他にも「確実に冷える」「確実に温まる」というメリットがありますが、あまりおすすめしません。
業務用エアコンの場合はメンテナンスや修理が大変ですし、ダクトの掃除も大変ですので、ダクトを通じての全館空調システムはせやまさんは推奨していません。
全館空調システムのデメリットや暖房計画に関しては、ぜひこちらの記事もご確認ください。
関連記事:『致命的なデメリット!「全館空調システム」を絶対におすすめしない”3つの理由”とは?』
大手ハウスメーカーなら安心では?
「大手ハウスメーカーがやってる全館空調システムなら、CMでも見てるから大丈夫じゃないですか?」と言われることもありますが、これは一理ありますよね。
車やテレビも大手企業の方が安心という気持ちは分かります。ただ、精密機器とか自動車の機械と、家というのはちょっと性質が違います。自動車やテレビはすごい開発費や技術が使われているので、大手企業しか取り組めません。
一方、住宅というのは「ハウスメーカー」とはいうものの、メーカーではありません。「ハウス商社&組み立て屋さん」という感じです。色々なメーカーが作ったものを、ハウスメーカーがセレクトして組み立ててるんです。つまり、ある意味大手企業じゃなくてもできるのが、住宅という分野なんです。
というわけで「大手企業だから安心」とは限りません。もちろん、大手企業は与信があり倒産しづらいとか、人のサービスが手厚かったりというメリットはあります。ただ、「大手のハウスメーカーだから性能も良いし、安心!」という考え方は、昔ながらの営業の術中にはまってしまう恐れがあるので注意してくださいね。
空調・調湿編④:加湿・換気機能付きエアコン
加湿・換気機能付きエアコンとは、冬の乾燥している時期にエアコンを稼働したら、同時に加湿されるエアコンです。
とはいえ、思ったより加湿されません。風量にも影響されますし、外部の湿度が低いと十分に加湿されないこともあります。
また、加湿できた場合でも家の中全ての湿度をまかなえるほどではありません。その割に初期費用が高いですし、故障リスクも上がるので、それほどメリットはないでしょう。
多少でも換気ができるなら良いのでは?
「換気の弱点は冷気が入ってくることなので、エアコンを通せばメリットがあるのでは?」という意見もあり、これはおっしゃる通りです。ただ、これも加湿と同じように換気の量が限られてしまいます。
エアコンの運転によって換気量が安定しないので、家全体を換気することはできません。もちろん、サブとしては役に立ちますが「これがあれば大丈夫!」というほどではないですよ。
関連記事:『量販店orネット通販?エアコンは”どこで”、”どういう機種”を買うべき?』
空調・調湿編⑤:調湿機能付きの壁材
冬は湿度を放出して加湿してくれて、夏は湿度を吸収して除湿してくれる機能が付いている壁材があるんです。
これも多少は調湿してくれるので、役に立たないわけではありません。ただし、やっぱり調湿量が知れてるんです。これだけで家中の湿度管理ができるわけではありません。
「冬は湿度を出してくれる」といっても、壁の中にずっと水分が補充されているわけではないので、カラカラになってしまいます。夏も、最初は湿度を吸収しますが、どこかに吐き出しているわけではないので限界があります。
霧吹きの吸収実験は良さそうだったんですけど…
実験を見て「すごい!」と思った人もいるかもしれませんが、あれはあくまで実験用の器具です。上手くいくように調整されている可能性だってありますよね。
というわけで、家全体の調湿を期待して入れるのではなく、「デザインがかっこいい」という目的で入れるならアリだと思います。冬の加湿は加湿器、夏の除湿に関しては原則エアコンに頼りましょう。その上で、洗濯物を干す場所には除湿器を入れるのもおすすめですよ。
注文住宅でおすすめできないオプション「オシャレ編」
憧れるものの、役に立たない設備として、最後に【オシャレな設備】について紹介していきます。紹介するものは、こちらの6つ。
- 木製ウッドデッキ
- (屋上)バルコニー
- 大開口の窓
- 親子扉(玄関ドア)
- 間接照明
- 天窓
オシャレ編①:木製ウッドデッキ
これは風合いが良くてかっこいいですよね。憧れる人は多いと思いますが、木材なので朽ちる点に要注意。
年に一度は必ずメンテナンスをしなければならないでしょう。メンテナンスを怠ると腐ってシロアリの餌となり、家もシロアリ被害に遭う恐れがあります。
関連記事:『シロアリ対策・予防に!新築戸建てに最適な「防蟻処理」とは?』
木製サッシってどう?
これは窓でも同じですね。
窓のサッシもせやまさんは樹脂サッシをおすすめしています。木製サッシは断熱性能としては良いんですが、木というのはメンテナンスをしないと白い粉を拭いて傷みます。木製サッシにすると一年に一度はメンテナンスしなければならないので、面倒ですよね。
木材を外部にさらされる場所で使うのは、メンテナンス面で勇気が必要です。それを踏まえて、自信がある人なら入れても良いでしょう。自信がない人は、ウッドデッキも木製っぽく見える樹脂製のものがおすすめですよ。
オシャレ編②:(屋上)バルコニー
屋上じゃなくても大きなバルコニーに憧れる人は多いですがこれはかなり初期費用がかかります。しかも、メンテナンスも大変です。
バルコニーというのは雨漏りのリスクが一番高いところなんです。そんなものを屋上に作ったら、雨漏りのリスクが高まりますよね。さらに、メンテナンスも屋根全体をしなければならないので、何百万円もかかってしまいます。
せやまさんも投資用にマンションを持っていますが、屋上防水のメンテナンス費用って、目ん玉飛び出るレベルで高いんです。そのメンテナンスの前に売却をするのが投資のセオリーというくらい、屋上バルコニーのメンテナンス費用はめちゃくちゃかかるので、やめた方が良いでしょう。
それに、そもそもバルコニーを使う機会もそんなにありません。よく「屋上でBBQしたい!」と言いますが、最初の新築祝いの数回くらいしか使いませんよ。お酒飲んだ後に1階のキッチンまで片づけるなんて、面倒でしょうがないですよね。個人的に、BBQは公園で楽しんだ方が良いと思います。
関連記事:『【新築】雨漏り対策から考える「屋根形状」の種類・勾配・軒の出を徹底解説!』
オシャレ編③:大開口の窓
天井まで窓があると、かっこ良くて憧れますよね。ただ、窓をでかくすればするほど、断熱性能は落ちます。
しかも、そんなに大きな窓を入れようと思うと樹脂サッシが使えず、アルミ樹脂複合サッシになってしまいます。なんなら、大きすぎて結露しやすいアルミサッシになってしまうことすらあります。
大開口の窓はデザインとしては良いんですが、そのために性能やメンテナンスを削るのはおすすめできません。
樹脂サッシでも、枠はぼてっとしてますけど、それくらい良いじゃないですか。高さは2,200mmまでありますし、横のサイズも2,500mmくらいまであります。そうすれば断熱性能とデザインのバランスもとれますよ。
また、なんならカーテンを天井からぶら下げてください。そうすれば天井まで窓があるような錯覚を覚えてかっこよくなります。このようなテクニックを使って、性能を担保しながら、なるべくお金をかけずにかっこいい家にしていってくださいね。
関連記事:『【完全攻略】新築の「窓選び」最適解は?窓の種類/性能/配置など徹底解説!』
オシャレ編④:親子扉(玄関ドア)
これは普通の扉の横に、カチャっと小さな扉がついているタイプの扉ですね。
最近では、希望する人も減ってきました。これは荷物搬入の時に便利だと言われて流行ったんです。
しかし、実際は子扉の方を開くのは、実際は大掃除の時くらいです。大きな荷物なんてめったに搬入しませんし、そういう時は玄関ではなくリビングの掃き出し窓から入れれば良いんです。というわけで、玄関ドアは普通の、シンプルな片開きの扉で十分でしょう。
関連記事:『温暖地も”寒冷地仕様”を推奨!断熱性能・利便性から考える「玄関ドア」の選び方は?』
オシャレ編⑤:間接照明
間接照明も憧れる人は多いですし、実際に良いですよね。
ただ、実際に住んでみるとあまり点けません。そんな「良い雰囲気を出したい」なんて場面は、正直そんなにないですよね。
それなのに、初期費用がかかります。さらに形によっては埃が溜まりやすく、個人的にはおすすめできません。
どうしても間接照明をつけたいのであれば、埃が溜まらない方法にしましょう。もしくは、ブラケット照明をつけるくらいで良いと思います。
間接照明をするくらいなら、調光調色機能つきの照明にしたり、人感センサーつきの照明を多めに入れたりといった、実用的な部分にお金を使った方が、住んだ後の快適性は上がりますよ。
後悔する照明に関しては、ぜひこちらの記事もご確認ください。
関連記事:『【必見】照明計画(リビング/ダイニング/玄関など)でよくある失敗・後悔パターン5選!』
オシャレ編⑥天窓
以前からお話してますが、天窓は雨漏りのリスクが高い設備です。
メンテナンスによって防ぐことはできますが、コーキングが切れたらおしまいです。また、トップライトを使わなくても、道路側を狙って窓をつければ明るくなります。
また、ハイライトといって、階段の吹き抜けの高いところに窓をつけて、光を取り込めば天窓を使う必要はないでしょう。
南向きの採光にこだわる人は多いですが、北側道路で北側採光であっても、天空光といって非常に安定した光を取り込むことはできます。というわけで、安易に天窓を採用しないようにしてくださいね。
まとめ
注文住宅でおすすめできないオプション19選
- 住宅設備編
⇒1.25坪のユニットバス
⇒自動お掃除レンジフード&浴槽
⇒お風呂・トイレの窓 - 収納の工夫編
⇒和室段上げ収納
⇒玄関框の下の収納
⇒シューズクロークの扉
⇒屋根裏収納
⇒見せる収納 - 空調・調湿編
⇒床暖房
⇒床下エアコン
⇒全館空調システム
⇒加湿・換気機能付きエアコン
⇒調湿機能付きの壁材 - オシャレ編
⇒木製ウッドデッキ
⇒(屋上)バルコニー
⇒大開口の窓
⇒親子扉
⇒間接照明
⇒天窓