2024.11.30
家を建てた後は「せっかく建てたし、万一のためにも…」と火災保険への加入意欲も高いと思います。
ただこれも、営業マンの言われるがまま何でもかんでも加入してしまうと、実は「事故が起きたのに保険適用外」だったり、特約をつけすぎて「こんなに要らないじゃん…」となってしまいがちです。
そこで本記事では、新築時の保険事情について詳しく解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください!
セールストークに流されないよう、しっかり勉強しよう!
本記事の内容は、以下動画でも解説していますので、動画で学びたい人はこちらからご覧ください。
目次
そもそも火災保険って?
「火災保険=火事の補償」だけではない!
まずは「火災保険=火事に対する補償だけではない」というお話をしておきましょう。
これ名前こそ「火災」なんですが、実際には火事だけをカバーするものではなく、たとえば風災や水災、雪災などで生じる自宅損害に対して広く適用される「損害保険」です。
ベースとしては火災に対する保険なんですが、オプションで幅広い損害に対応できるようになる。これらをまとめて「火災保険」と呼ぶイメージですね。
ですので、耐火性を高くしたから火災保険はいいや…と考えてしまうのはNGです。
火災保険っていつ入るべき?
火災保険を検討するタイミングは、家の工事が終わったタイミング、つまり「入居前」です。
また当然ですが、保険会社との契約にも数日かかりますので、住み始めるタイミングから保険適用されるよう、目安としては「引き渡しの1ヶ月前、遅くとも2週間前」から契約の手続きを行うようにしてください。
火災保険で抑えるべき「補償内容」は?
そもそも保険というのは万一のためのリスクヘッジが目的ですから、必要なものだけ・必要な額だけ加入するのがベストです。
火災保険も「どのオプションを付けるべきか」は地域や家の構造などを踏まえて取捨選択すべきです。
ここからは代表的な以下5つの保険(補償オプション)について「絶対に入るべき or 任意でOK」を詳しく解説していきます!
- 1. 風災保険
- 2. 水災保険
- 3. 地震保険
- 4. 家財保険
- 5. 個人賠償責任保険
1. 風災保険(必須)
早速結論からですが、まず風災保険は必ず加入してください。
風災保険は、台風をはじめとする風災(窓ガラスが割れた・雨樋が外れたなど)で適用される保険ですが、平成30年の保険適用事例は全国で「100万件以上」です。
これは同年の火災保険適用(3万件)の30倍以上で、他の災害と比べても、いかに被害世帯が多いかが分かりますね。
特に最近は温暖化などの影響もあって、台風の「進行ルートの予測」も難しくなってきていますので、事前に備えることも難しい。ですから風災保険はまずマストで入っておくべき、というのがBE ENOUGHとしての見解です。
2. 水災保険(推奨) ※ハザードエリアは必須!
ハザードエリアに入っていれば加入しよう!
水災保険は、豪雨や河川の氾濫、下水道のオーバーフローなどによるお家の浸水被害時に適用されます。
水災の起こりやすさ(リスク)は、お住まいの地域・土地によっても異なりますので、まずは損保険料率算出機構のハザードマップを見て、お住まいの地域が「水災ハザードエリア」に入っていれば加入するようにしてください。
一方で水災保険は、他の保険よりも料金が高いので、ハザードエリアに掛かっていない地域であれば無理に加入しなくていいと思います。
ハザードマップも年々更新されていますので、できるだけ直近のデータを参考にしつつ、お住まいの地域にあわせて判断するのが良いでしょう。
「土地選び」のタイミングで、ハザードエリアを避けられるとGood!
関連記事:『どうやって進めるべき?注文住宅の「土地探し」の流れ・コツ・注意点を完全攻略!』
床下「45cm以下」の浸水は、保険適用されない!
ここで注意しなければいけないのが、「地盤面から45cm以下の床下浸水」の場合は、保険が適用されないということ。たとえハザードエリアで浸水したとしても地盤面から45cm以下の浸水では適用されません。(床上浸水の場合には地盤面から45cm以下でも適用されます。)
またエコキュートや澄家の換気口は、基礎に穴が空いていることが多いので、特にハザードエリアでは立ち上げタイプの配管にするなど、とにかく地面から45cmの高さまでは穴がないようにしてください。
3. 地震保険(任意) ※エリアによっては推奨
地震保険の加入は基本「任意」でOK
基本的には「任意」でOKです。
実は地震保険というのは火災保険の「最大50%」までしか保証されないため、もし地震で家が全壊しても「保険金で再建」というのはまず無理なんです。
また家が丸ごと全壊するケースも稀ですから、ほとんどが“部分的損壊”と認定され、補償金額はせいぜい数十万〜多くて数百万円くらい。正直、100万円もらってどうするって話ですよね。
もちろん生活再建費としてはありがたいですが、それなら保険をかけずに万一のために個人で貯蓄しておく方がいいと思います。
南海トラフの被害or液状化リスクがある場合は加入推奨!
ただし、南海トラフなどで「震度6強以上」が予想されるエリアでは加入推奨、その他にも液状化現象などのリスクがある土地の場合は「加入必須」ですね。
また地震保険に加入する場合は、併せて「家財保険(次の④で紹介)」にも加入しておくとよいでしょう。
地震で被害を被るということは、家だけでなく、家財(家具など)も壊れてしまいますから、そういったときに家財保険に入っておくと、保証範囲も広くなるのでお勧めですよ。
関連記事:『土地探しの前に!「液状化現象」の仕組み/メカニズムと具体的な対策を徹底解説!』
地震保険加入時の注意点は?
詳しい保証内容は、実際の保険によって異なるので、詳細は契約時にしっかり確認する必要がありますが、前提知識として以下2点は覚えておきましょう!
- 地震に起因する火災の場合、「地震保険」しか適用されないこと
- 火山噴火の被害は、地震保険でないと適用されないこと
そもそも「地震に強い家」を作るのが先!
保険で悩む前に、まずは“地震に強い家づくり”を徹底してください。具体的には「許容応力度計算による耐震等級2以上+シロアリ対策」です。
もしものための保険も大切ですが、そもそも家が壊れなかったら何の問題もないわけです。なので地震に強い構造(耐震等級2以上)と、そもそも家の土台や柱を腐らせない(シロアリ対策)は必ず行うようにしましょう!
関連記事:『耐震等級だけじゃダメ!新築戸建ての「地震対策」に必須な”4項目”を徹底解説!』
関連記事:『【完全攻略】5人に1人が被害!新築戸建の「シロアリ対策(防蟻処理)」のイロハを徹底解説!』
4. 家財保険(任意)
家財保険は主に、家に固定されていない「家電・家具の故障」が対象で、たとえば子どもが誤って壊してしまった際にも適用されます。
家財保険は適用されやすい分、保険料も高いです。BE ENOUGHが推奨しているテクニックとしては、火災保険に全額かけるのではなく、火災保険の費用を若干減らしつつ、残りの分を家財保険に回すという方法です。
ただ、家財保険料は割高ですので「そんなに物を壊すような環境じゃないよ」という人は無理に入る必要はありませんので、任意で大丈夫です。
5. 個人賠償責任保険(必須)
家そのものとは関係ありませんが、地味に大切なのが「個人賠償責任保険(自賠責保険)」です。たとえば、子どもがお店のグラスを割ってしまったり、他人の車を傷つけたり、自転車で事故を起こしたりした際に補償される保険です。
自賠責保険については保険料もそこまで高くありませんし、絶対に入っておくといいと思いますよ。
特約で加入して入れば、契約の必要なし!
自賠責保険は、自動車保険の特約としてもつけることがあるので、既に加入している方は重複加入になってしまうため入る必要はないです。
どこでも加入していない方は、火災保険を検討するタイミングで必ず付けておくようにしましょう。 本当に大した保険料ではありませんし、もし何かが起きた時には非常に助かる保険なので、必ずこのタイミングで加入するようにしてください。
火災保険のまとめ
本記事でもお話した通り、どの保険に加入すべきかは、施主の皆さんの地域や状況によっても異なります。営業マンのセールストークに惑わされず、自分で「こういう理由で加入する or 加入しない」と判断していくようにしましょう。
保険名 | 加入の有無 | 注意事項 |
---|---|---|
風災保険 | ◎ 加入必須 |
– |
水災保険 | ◯ 推奨 |
ハザードエリアは必須! |
地震保険 | △ 任意 |
– |
家財保険 | △ 任意 |
– |
自賠責保険 | ◎ 加入必須 |
既に加入済みなら不要! |
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