2024.11.30
住宅ローンの中でも、「フラット35」というとCMなどでもよく目にしますよね。
住宅ローンで「固定金利にするか?それとも変動金利にするか?」を迷っている人の中には、この「フラット35」について詳しく知らない人もいると思います。
そこで本記事では、住宅ローンの中でも「フラット35」のメリットや金利引き下げ制度など、いまいち分かりづらい部分について掘り下げていきます。
フラット35のポイントをしっかり押さえておきましょう!
本記事はYouTubeでも分かりやすく解説していますので、動画で見たいという方はこちらをご覧ください!
解説動画(YouTube):『【住宅ローン】フラット35のメリットと手数料・金利を下げる方法』
目次
「フラット35」とは?
まず「フラット35」というのは、住宅金融支援機構(独立行政法人/政策金融機関)が運営している住宅ローン制度です。
端的にいうと、「運営自体は国がやっていて、そのローン制度をいろんな銀行が取り扱っている」という形ですね。
「フラット35」には、2タイプある!?
ちなみにフラット35には、「買取型」と「保証型」の2タイプがありますが、ほとんどは「買取型」です。
保証型は、買取型に比べて少し金利が低いんですが、取り扱っている窓口がごくわずかで審査も厳しいため実際のところあまり使われません。
「フラット35」ならではのメリットって?
他(民間)の銀行ローンにはないメリットをめちゃくちゃ持っているフラット35。
大きなメリットは以下の3つです。
- 金利が固定されている
- 他の住宅ローンよりも借入可能額が大きい
- 借入審査に通りやすい
これらのメリットをしっかり知れば「これは私向きだな!」と思える人もいるはず。それぞれ詳しく見ていきましょう!
メリット①:金利が固定されている
フラット35の実行金利は毎月変動しますが、実行後は全期間固定となります。
ちなみにフラット35は、金利情報に「1.44%~2%」などと幅があることが多いのですが、ほとんどの銀行は最低金利で対応してくれます。(これには「団信」も入っています。)
「団信(団体信用生命保険)」とは?
団信(団体信用生命保険)とは、「借主が亡くなったり、高度障害になったらローンをチャラにする」という制度です。
つまりこの「金利:1.44%」というのは、「生命保険がついた金利」というわけですね。
ちなみにこの団信は、病気や手術の状況によっては入れないのですが、フラット35なら団信に入れない人であっても住宅ローンが組めます。(この場合は、金利も少し下がります。)
【注意点】ローンの金利っていつ決まる?
またこれらの金利は長期金利、すなわち10年国債の利回りに連動していますが、この長期金利は毎月変動するので、「私の金利はいつの金利?」と思う人も多いでしょう。
これらの金利が決まるのは、「ローン実行のタイミング」。つまり、家が完成するちょっと前のタイミングで決まるので、なかなか読みづらいんです。
そのためフラット35で住宅ローンを組む場合は、「10年国債の利回り」もチェックしておくようにしましょう。
メリット②:他の住宅ローンよりも借入可能額が大きい
一般の銀行だと、大体借入可能額は「年収×8倍」くらいまでですが、フラット35であれば「年収×9~10倍の住宅ローン」も組めます。
このようにフラット35は、住宅ローンの中でも「借入可能額が突き抜けている」ため、これもフラット35の大きなメリットでしょう。
またこの特徴を活かして最大限まで借入する場合には、「後でお金が入る」など、資金のあてや余裕があるといいと思います。(「現金は事業・投資に回したい」という場合は、フラット35の利用を視野に入れてもいいでしょう。)
フラット35で金利を下げるコツは?
フラット35で金利を抑えるためには、「資金計画の9割以上」を借りないこと。
フラット35では、「資金計画の9割以上」を借りてしまうと、金利が少し上がってしまうんです。2022年4月を例にした際の金利差は、以下の通り。
- 借入金額が資金計画の「9割以下」 ⇒ 金利:1.44%
- 借入金額が資金計画の「9割以上」 ⇒ 金利:1.70%(+0.26%)
メリット③:借入審査に通りやすい
フラット35では、「借入審査に通りやすい」というのも大きなメリット。
というのもフラット35であれば、銀行からの評価が低くなりがちな自営業や転職直後の人でも借入しやすいんです。
もちろん借り入れなどの際に転職理由を問われる可能性はありますが、「転職して数ヶ月」という状況下でも借りれる可能性があるのは嬉しいですね。
最低でも1年、基本的には2~3年勤務していないと住宅ローンを組めない銀行も多いので、転職直後に家を建てる場合には「フラット35」を選択肢に入れるのもありだと思います。
ちなみに先ほど金利の話で伝えた通り、フラット35の場合、団信非加入でも借入可能で、その分金利を下げてもらうこともできますよ。
「フラット35」をお得に申し込む”コツ”は?
現状フラット35は、300以上の金融機関で取り扱われていますが、申し込み窓口によって「事務手数料」に差があります。
大体「0.77%~2.2%」程度と1%以上の開き、つまり4,000万円借りたら40万円の差になるわけですから、めちゃくちゃ大きいですよね。
手数料を多く払っても特に恩恵はないので、フラット35で住宅ローンを組む場合は、「事務手数料が低い窓口」を選ぶようにしましょう。(最低でも、事務手数料が1.1%以下の窓口を選びましょう!)
住宅会社経由だと、お得になるって本当?
フラット35は、住宅会社経由申し込むと、事務手数料がさらに安くなるケースがあります。
一般申し込みだと手数料が「1.5%」かかるところを、住宅会社経由だと「0.8%」となる場合もありますので、フラット35を利用する際には必ず頭に入れておきましょう。
住宅会社に提携状況を確認してから申し込んでくださいね。
【注意点】フラット35は、つなぎ融資がない!
フラット35は最終の一括払いなので、「土地代金」「着工金」「中間金」「最終金」への分割融資がありません。
そのため別途、土地決済/着工金/中間金のための「つなぎ融資」が必要となります。
つなぎ融資が必要な場合は、フラット35以外のところで調達しなければなりませんが、窓口ごとに金利もつなぎ融資も違うため、事前のチェックが大切です。
フラット35の「金利」をより下げるためには?
フラット35には「金利引き下げ制度」があるので、活用すればよりお得に住宅ローンを組めることも。
また、2022年4月からは「維持保全型」というキャンペーンも始まっているので、「フラット35で住宅ローンを組む!」という方は、こちらもチェックするといいと思います。
フラット35で使える金利引き下げ制度は3つあるので、詳しく見ていきましょう。
フラット35の“金利引き下げ制度”
- フラット35S(Aプラン・Bプラン)
- 維持保全型
- 地域連携型
金利引き下げ制度①:フラット35S
「フラット35S」を活用すると、プラン別に一定期間金利が「0.25%」引き下げられます。
またプラン活用には、住宅の性能条件を満たす必要があるので、事前に確認しておくと良いでしょう。
性能条件は以下の通り。
Aプラン(10年間のみ) |
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Bプラン(5年間のみ) |
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上記のように「Aプラン」の方がお得なので、フラット35Sを活用するなら、長期優良住宅を建ててフラット35Sの「Aプラン」にすると良いと思います。
「長期優良住宅」は補助金に有利!
長期優良住宅は、性能面でいうと少し微妙なのですが、補助金制度の活用などの税制面で有利です。
例えば、長期優良住宅であれば「こどもみらい住宅支援事業」の対象となり、80万円がもらえることもあります。家づくりの際、補助金関連はしっかり押さえておきましょうね。
金利引き下げ制度②:維持保全型
2022年4月から始まったフラット35の新制度、「維持保全型」もチェックしておきましょう。
維持保全型は、長期優良住宅に適用される金利引き下げ制度で、金利が5年間「0.25%」下がるんですがフラット35Sと併用可能なんです。
「フラット35S(Aプラン)」と「維持保全型」を併用した場合、最初の5年間は金利が「0.5%」引き下げられて、次の5年間は「0.25%」引き下げられます。
つまりこの併用であれば、住宅ローンを組んで10年経ってから実行時の金利が適用される、ということですね。
“維持保全型”には条件がある?
維持保全型の適用には、長期優良住宅への該当するのに加え、2022年4月1日以降に適合証明の申請を行う必要があります。
(これから家を建てる人は、間違いなく該当するので問題ないと思います。)
ただし、この「維持保全型」には予算上限があるので、当然予算がなくなったら終わってしまいます。
ですが申し込んだ時点で予算を確保してくれるらしいですし、予算がなくなりそう…となれば、3週間前に告知もされるようです。
申し込むなら早めが『吉』ですね!
金利引き下げ制度③:地域連携型
フラット35の金利引き下げ制度、最後は「地域連携型」です。
この地域連携型は、子育て支援・地域活性化・地域移住支援にスポットをあてた金利引き下げ制度なのですが、お住いの市区町村によっては実施していない場合があるためちょっとややこしいです。
なので地域連携型の活用を検討する場合には、役所の窓口で「地域連携型のフラット35を実施していますか?」と聞くのが確実でしょう。
ただ地域連携型をとったとしても、上で触れた「フラット35S(Aプラン)」と「維持保全型」が適用されていれば、金利引き下げ額はそれほど変わらないため要注意。
まとめ
「フラット35」で住宅ローンの借り入れを起こす際、覚えておくべきことは以下の通り。
「フラット35」で覚えておくべきこと
- 住宅会社経由だと「事務手数料」が安くなる場合あり
- 資金計画の9割以上は借りないように!(金利が上がるため)
- 「金利引き下げ制度」の利用も検討を!
つなぎ融資が別途必要となる点には注意!